ドイツ音楽との触れ合い〜再び〜

このたび鈴木ピアノ教室では、世界的に有名なアルニム先生をお招きして、特別にドイツ音楽にふれあう個人レッスンを開催いたします。

アルニム先生は私がドイツ留学時代に教えていただいた恩師で大変お世話になった方です。

シューベルトの作品は、その独特の調性感と途絶えることのないフレーズの長さに困惑された方も多いのではないでしょうか。各々の調性は、それ自身の色彩とキャラクターを持つことを説かれる教授のレッスンは、それらについてとても具体的で、なおかつ実践的な示唆を与えてくれます。例えば、シューベルトの最後のソナタD 960 B-durでは、冒頭をdie Glut der Sehnsucht (憧れへの炎/この場合、炎を出さずに赤く燃える炎)とインスピレーションを与えて下さいました。また、展開部における頻繁な調性の動きについては、A-durをfreudig (喜ばしい)またはschmerzlich (悲痛な)、gis-mollをleer (空疎な)、 H-durをhimmlisch (天空の)、 b-mollをTrauer (死に対する悲しみ)と例えています。

勿論、ベートーヴェンの作品にも傾倒しておられ、その哲学を解くためにも「楽譜の裏に書かれていることを探って演奏すること」を教えて下さいます。例えばソナタop.57「熱情」の2楽章では、もっとEhrfurcht(畏敬の念を持って恭しく)演奏することを求められます。

また、御本人自身も似ていると良く言われるシューマンの作品でも、大いなる魅力を発揮され、アンコールでしばしば演奏されるアラベスクop.18では、その色彩感豊かな表現力と、繊細にコントロールされたテクニックから紡ぎ出される詩的な叙情性に心を打たれない人はいないと思います。

さてここまで読まれると、ではドイツ語が堪能でなければ理解に難しいレッスンなのではないかと思われるかもしれませんが、これらのことを実演を交えて(時には日本語も交えて)、本当に分かりやすく教えて下さいます。もちろん、通訳も出来る限りお手伝いいたします。

2019年10月30日~31日、特別にここ出雲に来て下さります。先生のお人柄に触れ、その音楽の深さを学ぶことで、今までの音楽人生に、より意義のある経験を積み重ねることができるのではないでしょうか

 

アルヌルフ・フォン・アルニム教授

アルヌルフ・フォン・アルニム教授

Prof. Arnulf von Arnim


1947年ハンブルク生まれ。

フランクフルト音楽大学でヨアヒム・フォルクマン Joachim Volkmannとアウグスト・レオポルダー August Leopolderに師事。1970年、ドイツの奨学金でパリのピエール・サンカン Pierre Sancanに師事。1972年から1976年までシュトゥットガルト音楽大学でユルゲン・ウーデ Jurgen Uhde、ドーラ・メッツガー Dora Metzgerに師事。

またクラウディオ・アラウ Claudio Arrauとヴィルヘルム・ケンプ Wilhelm Kempffのマスタークラスを受講する。
ヴィオッティ国際コンクール第1位、マリア・カナルス国際コンクール第1位、ブゾーニ国際コンクール第3位、ジュネーブ国際ピアノコンクール入賞。

ソロリサイタルをはじめ、コンツェルトのソリストとしても演奏活動を行い、テレビ出演、CDレコーディングも数多い。ヨーロッパ、アメリカ、中国、韓国、日本、東南アジアの各地で演奏活動、講習会を行う。

フランク・ペーター・ツィンマーマン、ウルフ・ヘルシャー、サシュコ・ガブリロフ、クルト・ニッカネン、クルト・ギュントナー、ポール・ローゼンタール、ダヴィド・ゲリンガス、イヴァン・モナイエッティ、ジュリアス・ベルガー、ライナー・ムーグ、ジアン・サーレム、ブロツキー各氏と共演するなど、室内楽活動も数多く行う。

デトモルト音楽大学教授を退任後、ミュンヘン音楽大学特任教授を経て、現在、ミュンスター、フランクフルト各音楽大学で特任教授として後進の指導にあたる。門下生に、ミュンヘンコンクール第1位、第2位、ハエン国際コンクール最高位等、数々の国際コンクールで上位入賞者を輩出している。

国際シューベルトコンクール総監督、国際サマーアカデミーチェルヴォ主宰。ザルツブルグ国際夏期講習会講師を務めるかたわら、ヨーロッパをはじめ、アメリカ、アジアの主要なコンクールの審査員も数多く務める。